[PRESS] UKのカルチャーサイト「sangbleu.com」 様に前回のイベントレポートと創設者David TGのインタビューが掲載されています (English)

English : sangbleu magazine ‘TORTURE GARDEN JAPAN’

Japanese :  (以下和訳)

記事・インタビュー:Ira Lupu
写真:Yuliya Libkina

「トーチャーガーデン」と聞いたとき、あなたは最初に何を思い浮かべますか?
おそらく、フランスの作家・オクターヴ・ミルボーの書いた退廃小説か、もしくは、ジョン・ゾーンのバンド「ネイキッドシティ」でしょうか。
もしあなたがデカダンス文学やアヴァンギャルドな音楽に興味がなければ、拷問器具のある庭を想像してしまうかもしれません。
でももしあなたが少しでもイギリスのアンダーグラウンドな歴史やカルチャーであるフェティッシュやBDSMに興味があるなら、トーチャーガーデンが、 1990年にデヴィッド・ウッドとアラン・ペリングの二人がロンドンでスタートした伝説のフェティッシュクラブイベントだと知っているでしょう。
それが今現在まで続く「シリーズパーティ」だとも。

トーチャーガーデンは、「シリーズパーティ」という言葉では表しきれません。
クラブパーティによくあるお酒やダンスを楽しむ事以外にも、まるでロン・アシュレイとフランコ・Bの血を用いたパフォーマンスアートのようなSMやフェ ティッシュファッションショー、特別なミュージック、キンキーな映像、そして厳しいドレスコードが、誰にも言えないような個々の秘密のセクシャルな幻想と 蠱惑的なおとぎ話を融合させ、特別な雰囲気の中で来場者と共有するパーティ、それがトーチャーガーデンです。

スタート当初は特殊で奇異な少人数イベントだったトーチャーガーデンは時間と共に成長し、フェティッシュの帝国と呼べるほど商業的にも大きくなっていきました。
そして、国内外で活躍する移動サーカスのようにイギリス以外の国でも行なうようになりました。

オーガナイザーのデヴィッドとアランが最初にイギリス以外でトーチャーガーデンを開催した国は日本でした。
確かに日本には「緊縛」の伝統もあり、西洋の伝統的なマインドと比較すると、すべてを逸脱したようなテイストがあります。
これはトーチャーガーデンのコンセプトに完璧にマッチするように思えます。

「最初、私はUKのトーチャーガーデンチームに変な奴だと思われていたようです。」
日本でトーチャーガーデンをスタートさせ、長い間トーチャーガーデンジャパンのオーガナイザーであるスズキ・ソウタは笑いながら教えてくれました。
「2001年に初めて東京で開催したトーチャーガーデンは、想像していた数の10倍の来場数でした。私は、最初、日本の市場では、200人~300人くらい来る感じかな、と思っていました。そしたら、2000人くらい来てしまったんです。」

トーチャーガーデンジャパンは今でも続いています。

最近では、今年の2月21日に西麻布で開催されました。
今回もデヴィッド・ウッドを始め、本国UKのトーチャーガーデンチームが来日。

そこで私たちは、日本の文化や現地バージョンのパーティ、今回のトーチャーガーデンジャパンについて、デヴィッドに話を聞きました。

——

Ira : あなたは25年前にロンドンでトーチャーガーデンというパーティをスタートさせましたね。
イベントにどんな変化があり、フェティッシュのムーブメントに何か繋がりがありましたか?
David : わお!そうです。今年の10月で25年つまり、四半世紀ですね!
私たちのイベントのコンセプトは全く変わっていません。
クラブイベント以上であり、普通のフェティッシュパーティ以上のイベントを作りたかったんです。
複数の部屋(フロア)と、異なるテーマの環境や空間、そしてプログレッシブな音楽を用意したくて、また、パフォーマンスやファッションショーやビジュアル やアートなどの形式を作りかかった。そして、来場者の求めるファンタジーと変身願望をよりオープンにし、想像力豊かなドレスコードを設けたかったのです。

現在でもクラブはまだ新鮮でエッジの効いたもののようで、音楽、パフォーマンス、観客のスタイルは、数年ごとに進化し変化していますが、イベントのコンセプト自体はずっと変わらず、同じです。
私たちがやっていることは、今までは極端な事でした。
しかし現在、何が最も変化したかと言うなら、私たちの周りの社会の変化でしょうか。
フェティッシュやファンタジー、セクシュアリティなモチーフでドレスアップをすることが認められたようで、現在イギリスではそういう事がほぼメインストリームとなっています。
もはや、トーチャーガーデンがスタートした頃のようなアンダーグラウンドさや秘められた感じがなくなってきています。
今ではほとんど皆がトーチャーガーデンに行ったことがあったり、知っていたりします。

今の来場者は、かつて極端なファッションと思われていた時代よりもドレスアップしていますね。
しかし、それと同時にトーチャーガーデンは、以前よりも商業的になりそれにより更に
新しい来場者を得ていますが、多分、多くはアンダーグラウンドなシーンよりも多分ドレスコードに興味があるようです。

また、もう一つの変化は、イベントの規模が変わったという事です。
1990年にスタートした当初は500人の来場者でしたが、現在は最大2500人の動員です。
ショーやプロダクションもより大きくなりました。
たくさんの人が来るという事は、私たちのイベントに、クリエイティブで壮大なパワーをもたらしてくれましたね。
Ira : なるほど。トーチャーガーデンはもうアンダーグラウンドではないのですね。

でもあなたは最初、オーディナリー向けな世俗的な視点よりもむしろ難解なフランスの哲学者であるジョルジュ・バタイユのダークさや反抗的なエロティックさに影響を受けたそうですね。
あなたにとって今でもこういった哲学的な思想は重要ですか?
David : ジョルジュ・バタイユは今もお気に入りの作家です。
多分、トーチャーガーデンは、クラシカルなフェティッシュやSMよりも、性と死、ダークなエロティシズムをテーマとしています。
Ira : では、日本でのトーチャーガーデンについてお聞きします。
いつどのようにしてスタートしたのですか?
そして日本のトーチャーガーデンは本国UKのトーチャーガーデンとどのようにマッチしたのでしょうか?
David : 東京のプロモーターであるスズキ・ソウタが、2001年に私たちを招待し、
トーチャーガーデンジャパンを開催したのが始まりです。
それからずっと私たちはソウタと一緒にトーチャーガーデンジャパンをやっています。
ローマでもトーチャーガーデンをするようになりましたが、東京でのトーチャーガーデンは、ロンドン以外で開催する場所では一番長く続けています。
今までに10回くらいは行なったと思いますよ。
Ira : あなたは、ビザールなイベントを世界中に普及させていますが、中でも日本には得にスペシャルな思いがあるように感じます。
それは何故ですか?
日本の何がトーチャーガーデンとマッチしたのでしょうか?
日本のカルチャーに関係しますか?
David : 日本という国は、フェティッシュやファンタジーのイメージに自然に溶け込んでいるように感じます。
日本の文化である“視覚の美学や気質”は、海外から見るとフェティッシュに見えます。
私たちがトーチャーガーデンのチームとして訪れたどの国も、それぞれ個々のスタイルがありましたし、フェティッシュやファンタジー、セクシャリティーな事をミックスして、それぞれいろいろな方法でドレスアップしています。
しかし、日本でのトーチャーガーデンは特別です。
とてもオリジナルに感じましたし、来場者のコスチュームは皆個性的で唯一無二の物でした。
私たちUKのトーチャーガーデンチームがロンドン以外で見てきた服装の中で間違いなく一番です。
もしくはおそらく、日本とトーチャーガーデンには似た美学があるのかもしれません。
日本の皆さんが私たちが持ってくるトーチャーガーデンというイベントのショーやパフォーマンス、ファッション、音楽を好きでいてくれたらいいですね。
Ira : 今回の日本でのトーチャーガーデンは前回から約4年ぶりでしたが、それは何故ですか?
近年の日本のクラブは法律による制限がありますが、そういった問題もあったのでしょうか?
David : どの国や都市でもファッションも法律も箱(イベントを行なう会場、クラブ)もいろいろ変わります。
クラブシーンも変わることもあります。
そういった事情により、私たちはいつも海外でイベントを行なう際にはその国のプロモーターと仕事をすることにしています。
私たちは会場や法律に関する心配において彼らを信頼するべきです。

日本でまたトーチャーガーデンができるかどうか分からなかったので、また戻ってこれて本当に本当に嬉しいです。
またトーチャーガーデンジャパンがレギュラーイベントになったらいいな。
Ira : あなたは個人的にも日本が大好きだと言っていますね、もう既に10回以上訪ねているというのに。
あなたにとって、なぜそんなに日本が特別なのですか?
何か特別印象的な事があったのでしょうか?
David : 誰しも自分の母国以外の他の国への繋がりを感じることがあると思うのですが、私の場合はそれが日本なんです。
私は子供の頃から何故か日本のイメージや文化や美学に惹かれていました。
日本食なんてもう食べる前から絶対好きな味だと知っていたしね(笑)

もともとイメージだけでその国が好きだったけど、実際やっとそこに
行ってみるとがっかりするという話はよく聞くけれど、日本は逆でした。より大好きになったんです。

私は日本の伝統やスピリチュアルな文化も好きです。
一番のお気に入りの経験は、高野山のお寺に泊まったことかな。
森の中にある墓地を雪が降る夜中に歩いたんですよ。
あとは、日本のクレイジーでテクノモダンなところも好きです。
極端な二つの側面が共存していますよね。

日本にまだ来たことが無い頃ですが、アラン・TG(UKトーチャーガーデンのもう一人のオーガナイザー)は、日本の文化にも食べ物にも全く興味がなかったのですが、今では
日本人の彼女との間に子どもがいます。

そんなわけで私たちは二人とも日本という国と恋に落ちてしまった(笑)
Ira : トーチャーガーデンのオーディエンスについて教えてください。
日本のオーディエンスとロンドンのオーディエンスの違いはどこでしょう?
David : フェティッシュパーティの参加者が素晴らしいのは、その多様さといろいろなファッションのミックスです。
日本のオーディエンスもですね。
ロンドンのトーチャーガーデンのオーディエンスのファッションは、フェティッシュやSMスタイル、あとはゴスやインダストリアル、ボディアート、バーレスク、キャバレー、ゲイ、ドラァグ、ハイファッションがミックスしています。
東京で皆さんの多種多様なフェティッシュファッションを見ることができて嬉しいです。
Ira : 今年の2月21日に開催されたトーチャーガーデンジャパンについて教えてください。
David : 今回、数年前に何度かトーチャーガーデンジャパンを行なった箱に戻ってきました。
今はFreq (5月29日現在はBERG & WEST)という店名になっていました。
この会場は素晴らしかった。
それぞれテーマの違うフロア、2つのステージがありました。
パワーを感じたし、雰囲気も良かった。
日本のトーチャーガーデンには、ロンドンのようなダンジョンルーム(プレイルーム)はありませんが、来場者は素晴らしいし、彼らは皆、トーチャーガーデンの演出や音楽が好きなようでした。

今回の日本のトーチャーガーデンの為の本国からのスペシャルゲストパフォーマーは、ピアッシングとサスペンションのスターであるMiss Crash (ミス・クラッシュ。アメリカ出身/ベルリン在住)とラテックスコスチュームパフォーマーのMarnie Scarlet(マーニー・スカーレット。イギリス)の2名でした。
あとは、私はダンスフロアでエレクトロハウス、ダブステップ&ドラムンベースのDJをし、The Secretaryが、ラウンジルームでバーレスクやエレクトロスウィング、マッシュアップスタイルのDJをしました。

そして、今回のトーチャーガーデンジャパンにもすごいコスチュームの人たちがいました。
イギリスの衛兵隊のユニフォームがラバーだったり、
フルラバーで犬の格好をした人が3人もいたり、ラバーのウサギもいましたよ。
こういうユニークでオリジナルなコスチュームを見るのが大好きです。
Ira : あなたが考えるパーフェクトなトーチャーガーデンはどんなパーティですか?
日本かもしくはどこかだったり、ありえないような事だったり夢でもいいです。
会場やパフォーマー、来場者、雰囲気など、空想してみてください。
David : 会場は常に制限があります。
その会場が存在していなくてはならないし、そして使えなくてはならないし。
ナイトクラブではない会場を見つけたいですね。
映画の中に迷い込んだような、それかもしくは現実の世界から別世界にいざなわれたような、そんな完璧なファンタジーを作りたいんです。

ショーやパフォーマーに関しては、いつも私たちがやってほしい人を入れてます。
アレキサンダー・マックイーンのファッションショーがいいだろうな。
.